Covid-19について考える 〜分断と対立ではなく連帯と協調を〜

 2019年末に中国武漢の医師が「未知のウイルスが…」と提起し、後に全世界に感染が広まった新型コロナウイルス感染症はWHOによってCovid-19と名付けられた。

 2020年8月末現在で世界の感染者数は25,222,709人で死者数は846,395人に達した。さて、Covid-19が世界のニュースの中心になる前、世界では次のようなことが主なニュースであったようだ。(読売新聞によるアンケート調査1〜30位ニュース一覧。数字は得票数。カッコ内は有効投票に占める割合)

 

《 1 》香港で学生らが大規模デモ10,220(86.3%)
《 2 》ノートルダム大聖堂で大火災9,551(80.6%)
《 3 》16歳グレタさん、国連で演説6,551(55.3%)
《 4 》北朝鮮、新型SLBM発射5,111(43.1%)
《 5 》米、「パリ協定」離脱を国連に通告5,007(42.3%)
《 6 》ハノイで2回目の米朝首脳会談、物別れに4,810(40.6%)
《 7 》米中、制裁・報復「第4弾」発動4,700(39.7%)
《 8 》アマゾンで森林火災が多発4,680(39.5%)
《 9 》英下院が解散・総選挙、EU離脱が最大の争点4,642(39.2%)
《10》英ヘンリー王子に第1子の男児誕生4,546(38.4%)
《11》英首相にジョンソン氏4,050(34.2%)
《12》「イスラム国」指導者が米作戦で死亡3,749(31.6%)
《13》ニュージーランドで銃乱射、51人死亡3,733(31.5%)
《14》タイガー・ウッズが完全復活3,452(29.1%)
《15》韓国のチョ法相が辞任、政権に打撃3,226(27.2%)
《16》ボーイング機が墜落、157人死亡3,217(27.2%)
《17》トランプ米大統領、国境の壁建設へ国家非常事態を宣言3,106(26.2%)
《18》中国の探査機が月裏側に着陸、世界初2,967(25.0%)
《19》イラン、核開発を拡大2,765(23.3%)
《20》ブラジルでダム決壊、250人超死亡2,614(22.1%)
《21》ノーベル平和賞にエチオピア首相2,590(21.9%)
《22》スリランカで同時爆破テロ2,512(21.2%)
《23》バンクシーの絵画、13億円で落札2,141(18.1%)
《24》G7サミット、首脳宣言は紙1枚1,709(14.4%)
《25》米司法省、中国通信機器大手「華為技術」のCFOを起訴1,653(14.0%)
《26》米露INF全廃条約が失効1,635(13.8%)
《27》欧州熱波、仏などで死者1,382(11.7%)
《28》中国の習国家主席が訪朝1,284(10.8%)
《29》コンゴでエボラ「緊急事態」1,159(9.8%)
《30》韓国、東京五輪での旭日旗使用禁止を要求880(7.4%)

 

 いかがだろうか、連帯と協調ではなく人種や民族の分断と対立・ヘイト、そして、国家レベルでは自国第一主義がはびこっている印象を強く抱かざるを得ない。

 ところが、そんなことをあざ笑うかのようにCovid-19は瞬く間に国境の壁を越え、人種や民族の壁を越えて行った。唯一ほんの少しCovid-19にとってハードルだったのは皮肉なことに経済格差であっただろう。ところで、今現在、ワクチンを手にしていない我々のCovid-19との闘いでの主な武器は外出自粛と在宅、手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス(注1)などの生活様式の変更であるが、ここでも、分断と対立が垣間見える。国内では医療従事者や感染者への差別、他府県ナンバーの車や帰省した人達へのいやがらせ、マスク警察、自粛警察等など。国際的にはこれにアジア人へのヘイトが加わる。

 本来ウイルスとの闘いは人類の持つ英知を結集しワクチンや特効薬の開発に期待すべきで、団結と連帯、協調こそが大事なのである。そして長期的にはSDGsの世界的な実践である。Covid-19に関わらず、過去におけるパンデミックは人類の側からウイルスへ接触したことによるものであることは各種研究で明らかになっている。SDGsを実践することによって今後100%未知のウイルスとの遭遇がなくなるわけではないが少なくとも間隔が空いたり、減少したりすることは間違いが無いであろう。

 ところで、SDGs実践と推進の中心を担うのは実は政治である。政治家の皆さんが人類の未来と人類全体の利益を見据え奮起されることを期待するところである。ティグレフォーラムはそういった政治家を応援したいし、そのような政治家が一人でも多く出てこられることを切に願うものである。

 

(注1)ソーシャルディスタンスを訳すと社会的距離となる。社会的距離とは本来、個人であれ、集団であれ親密性や親近性があるか無いかを表すときに使用される。物理的な距離のことではない。また、ソーシャルディスタンスはしばしば差別的意味合いをもって使われることもある。Covid-19の感染防止のために人と人の物理的距離を取ろうと呼び掛ける場合はフィジカルディスタンス(フィジカル=肉体的 身体的)を取ろうと表現するのが正しい。日本でも一時フィジカルディスタンスと言い換えようとの試みが行われたがソーシャルディスタンスが物理的距離の意味合いで定着してしまった。この際、ソーシャルディスタンスにCovid-19という社会的課題に立ち向かうため人はみな物理的距離をとりつつ精神的には逆に距離を縮め連帯を強める…という意味合いを持たせたらどうだろうか。これもまた、政治の役割か…。

ティグレフォーラム代表 井戸木